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アーマード・コア4 ストーリー解説 -思想家は去り、そして誰もいなくなった-

コロニーアスピナ。

AMS研究の最先端を行くコロニーで、アナトリアの技術を持ち逃げした裏切り者たちの亡命先。

アスピナの研究者達は最初期のAMS被献体である男をリンクスとして傭兵稼業に身を投じさせた。

HARD準拠だと計17人ものリンクスを撃破した主人公に匹敵する存在、それがアスピナの白い閃光、ジョシュア・オブライエンでした。

CHAPTER 5 Death Comes as the End -死が最後にやってくる-

アナトリアの傭兵の終盤の戦績としては以下の通りです。

多くの企業がコジマエネルギー施設のスフィアの奪取を目論んだ全ての戦力が退けられるほど強力なBFFの精鋭部隊「サイレントアバランチ」その撃破に加えて、同施設を防衛していたネクスト戦力、ウォルコット兄妹の撃破。

その後も、GA社の観測衛星を狙ったとされるレイレナードの衛星軌道掃射砲エーレンベルクを強襲し破壊。

GAEとアクアビットが生んだ巨大兵器ソルディオスをジョシュアと共に撃破。

No03 アンジェを正々堂々の一騎討ちで撃破。

まさしくレイレナード=アクアビットの悪夢と呼べる存在でした。

そしてついにリンクス戦争の決戦が訪れる。

レイレナード陣営の最精鋭ネクスト部隊

No01 ベルリオーズ

No11 ザンニ

No15 アンシール

No21 P.ダム

この四名と交戦しているオーメル陣営のネクスト部隊救援に向かったアナトリアの傭兵、これを撃破。

レイレナード陣営のネクスト戦力はここで完全に崩壊。

その後、レイレナード本社をアナトリアの傭兵が、アクアビット本社をジョシュア・オブライエンが破壊。リンクス戦争は両社の崩壊によって決着した。

各地に活動していたBFF残党関係の依頼も最終盤には無かった為、この頃には駆逐されていると思われる。

二人の傭兵の働きがオーメル陣営に勝利をもたらしたと言っても過言ではない。

そして戦争終結後、最後のどんでん返しであるイミフな事件が起こる。

CHAPTER 6 And Then There Were None -そして誰もいなくなった-

SEED A HOSTILE EARTH -敵意の大地に種を蒔く

あの時何が起きていたのか

まず、プレイヤーにとって空白の時間をいったん整理してみよう。

リンクス戦争終結直後、傭兵稼業がひと段落したことによりフィオナが主人公の休息を求めた。

指導者のエミールがそれを了承。

「甘かった、と言えばそれまでだ。都合のいい恐怖は世界の常であるというのに」

突如としてプロトタイプ・ネクストのアレサに乗ったジョシュアがアナトリアを強襲。

出遅れながらも現場に到着し、迎撃に出た主人公がジョシュアを撃破。

オーメル所属のNo.06のセロが現れ、主人公はこれも撃破する。

主人公とフィオナの二人は汚染された町を後にし、コロニー・アナトリアは滅亡する。

なお、滅亡に関しては、粛清で滅んだのか、それともしばらくして様々な要因が重なって滅んだのかは不明。

アナトリアの傭兵が出撃するも、間に合わず大半を破壊され、重度のコジマ汚染を受けてしまったとある。

ここまで割と丁寧に積み重ねてきた話が超飛びましたね。


ここでの問題として語るべきは、アナトリアが滅んだことというよりも「誰が何のためにアナトリアを滅ぼした」ということでした。
このアナトリア失陥は「オーメルの策謀」「企業の総意をオーメルが実行」と言われており、少なくともファンの間ではオーメル主犯という認識で間違いないと思います。

この事件の背後にいたのは、アスピナと関係の深いオーメルだろうか。

ただ、一社の独断ではなく、戦争の勝者であるGA陣営の総意が働いたと見ることもできる


公式資料集アーマード・コア A NEW ORDER of “NEXT”より抜粋

アナトリア襲撃の思惑について

とりあえず、アスピナとオーメルのリンクスが関わっている時点で、彼等は間違いなく黒でした。

セロは傭兵ではなく企業専属のリンクスであり、オーメルの切り札が独断での行動と考えるのは無理があります。
問題なのは、fa時代のアスピナが立派な変態技術者として認知されるほど、情報が出ているのにも関わらず、4時代の彼らの記述が非常に少ないという点でした。

fa企業説明文曰く

独立した研究機関だが、その運営資金のほとんどはオーメルによって提供されており、実質的にオーメルの研究機関として扱われている。

4時代でもこの関係が同様であれば、実行したのは実質オーメル単独という事になります。

しかし、いつからアスピナはオーメルとここまで深く繋がっていたのか?

これを明確に記している記述はなく、故に作中と資料集から丁寧に読み解いていくしかありません。

この粛清がオーメルによるものというのがファンの間で有力な説ですが、オーメルとコロニー・アスピナとの関係が「ずっと昔から懇意にしていた間柄」としたら、これまでの戦争での立ち位置が少しおかしくなります。

最初期からアスピナとオーメルは繋がっていたか?


アスピナの歴史として、AMSの先端研究機関であることで知られており、よく説明されるアナトリアの技術が持ち去られたというのも、資料集ではAMS技術はアスピナ、IRS/FRS技術がアナトリア研究所によって研究、開発されていると明記されています。

FRSは機体のカスタマイズ要素であるFRSメモリおして出てきていますね。

細かく描写してもキリがないので、分かりやすくAMSという言葉で括ったのかは不明ですが、これは間違いないです。

それはともかく、大事なのはどちらのコロニーも経済基盤を技術情報取引に依拠しており、AMS/FRS/IRS技術も商品として販売されている。
コロニー・アナトリアが技術を盗まれるまで繁栄していたと考えるならば、コロニー・アスピナもある程度栄えていたと考えていいです。

ならば言ってしまえば、技術を持ち逃げされて追い込まれたアナトリアと異なり、

アスピナはわざわざ傭兵業始めるほど苦しい立場に追い込まれていませんでした。

それどころか、アナトリアの技術を吸収して、後に最先端を一手に担う一大研究機関に成長しています。

ここまで興味を持って読んでくれたリンクス御存じの、我らが穴もといフラジールに乗るCUBE君。

fa時代で彼らがリンクスを投入するのは説明文のように「データ収集」が目的とされていることから、ジョシュアも同様だろうと考えるでしょう。ただ、そういった理由でジョシュアに傭兵業を始めさせたとは断言できないのです。また具体的な理由も、作中や資料集でも一切確認が出来ない。

ただ、傭兵業の始めたのに近い記述として資料集曰く

コロニー・アスピナがオーメルの秘密裏の支援を受けて、世界で2番目のネクストを駆る傭兵を所有した

 ここから読み取れる事実として

最初期の実験体リンクスであるジョシュアの存在と、アスピナはオーメルと元より近い関係にあったこと。

そして、アスピナの傭兵業はオーメルの意を受けているということ。

これでアスピナは事実上オーメルの研究機関だった、と結論付けていいのでしょう。しかし、そう決めつけるのはまだ早いです。

実はこのジョシュア・オブライエン、

レイレナード陣営の依頼も受けているのである。

ジョシュアがHARD時で敵対した理由

さて、ジョシュアが尻軽男なせいで、何が何だか分からなくなってきましたね。

ジョシュアが味方や敵という形で参戦するミッションが幾つかありましたが、HARDがパラレルとして扱われる最大の原因はコイツで、慣れてしまうと使い勝手のいい適当な難易度調整要員という扱いにプレイヤーからは映ります。

実際、味方の時もあれば敵の刺客としてアナトリアの傭兵に襲い掛かった事も一度や二度ではありませんでした。

しかし、忘れてはならないのはアナトリアの傭兵の味方の側に立ち、敵に回るということは、ジョシュアも陣営がコロコロと変わっているということです。

顕著だったのが2周目であるHARDだと敵味方が反対の立場になること。
アマジーグ戦→味方ならGA陣営 敵ではマグリブ≒BFF、イクバール陣営
シェリング戦→敵としてインテリオル陣営。

メアリー戦→未登場。

しかし、実はレイレナード陣営に参加しなくなるのはリンクス戦争開戦後とキッチリ線引きされています。
これほど金を積まれれば誰の依頼でも受ける傭兵らしいNPCは、主人公を除けばシリーズでも珍しいといえますね。

かと言って、報酬こそ全てな傭兵として好き勝手やることを彼自身が望んでいたわけではなく、アレサ戦でも「私もすぐ逝く…責めはそこで聞こう」と吐血しながら囁いてくれたり、本人は仕事人でしかないです。
また、この最終決戦時にアスピナはオーメルの意向から最大戦力を失う事を承知して、ジョシュアを送り出したという事になります。

ところがぎっちょん

続編で登場するジョシュアの再来と呼ばれたアスピナ出身のリンクス、ジュリアス・エメリー。

彼女の存在があるが、なんとリンクス戦争末期にレイレナードに合流しているとある。

正直この記述に疑問を抱かなかったのですが、よく思い返してみるとおかしな話でした。

リンクス戦争末期とは、敵対するレイレナード陣営が崩壊している終盤。

つまりアナトリアとアスピナの傭兵が「オーメル陣営の戦力基盤」になっていた決戦の時期になります。

アスピナの生存戦略は企業への忠誠心にあった

このアスピナの動向は、どう説明すべきか。

整理してみると分かっていることは、AC4における企業による管理経済戦争以前からオーメルと一定以上の関係があった事。

これはアスピナが傭兵業を始めるのに、オーメルが支援していた事も明らかでした。リンクス戦争以前からオーメルとアスピナがある程度の関係にあり、研究部門をアスピナが任せられてたのは間違いないです。にもかかわらず、非オーメル陣営からの依頼も受けているのは、当時のアスピナがコロニーとしてある程度独立して動けていたことを示している。

確かに影響下にあったが、決して傀儡ではなかったという事ですね。傭兵業開業からリンクス戦争開幕まで彼らは、オーメルと関係が深いが独立した勢力であり、そのコロニー・アスピナがリンクス戦争ではオーメル陣営に落ち着いた。

しかしその中で、ジュリアスがレイレナードに加入するという事態。

ここから考えられるのはコロニー・アスピナ内における内部分裂による離脱者でした。

「生き残り戦略」としてオーメルとレイレナード、どちらの陣営にも戦力を提供してどっちが戦争に勝っても戦後、アスピナがある程度の地位を確保して生き残れる様にするという見方もあります。

しかし、リンクス戦争の大まかな流れとして、最初期は戦力充実しているレイレナード陣営優勢で、アナトリアの傭兵とジョシュアの功績で情勢が覆され、レイレナード陣営のベルリオーズ率いる最精鋭ネクスト部隊を出して雌雄を決するという経緯でした。

傭兵業の生存戦略としてジュリアスを送るタイミングでベストなのは戦争早期の内であり、わざわざ終盤の混乱期に合流する意義は薄い。

アスピナの政治的配慮でレイレナードに合流したのならば戦後にアスピナに帰還、もしくはそのままオーメルに吸収されれば解決する。

しかし彼女は、むしろレイレナードの亡霊であるORCA旅団に合流した。

ならば、アスピナが内部分裂を起こしたと考えるべきでしょう。

アスピナは上手く立ち回った結果、企業からも融通の利く相手として取引、片方のイレギュラーである「ジョシュアを使い潰す選択」によって、生き残れたという結果でした。 

加えて、ジョシュアの搭乗機「ホワイト・グリント」の機体設計は天才アーキテクト「アブ・マーシュ」

後のfaで登場するワンオフ機「ホワイト・グリント」も共に設計している事実が明かされました。彼がアスピナに所属していた人間であり、企業と敵対するラインアークに合流しているという点。使い捨てにされたジョシュアの機体を設計した人物であるということ。アスピナに何があったのかは想像に難くありません。

アナトリア失陥時の企業サイドの思惑としてはこんなところです。

そして誰もいなくなった

この問題で最後の疑問と言えば、オーメルがアナトリアの傭兵に勝てる算段を立てたなら「他企業も勝ち馬乗りを狙ってネクストの一機ぐらい派遣してくるのでは?」という点ですが、オーメルが勝ちを確信してアナトリア粛清をそのまま成功した場合、当然オーメルは戦後政治の主導権を握るのでした。

陣営内のGAもイクバールも、はたまた中立のインテリオルも、自分らでやろうとするとリスクが見合わないが、勝ち馬に乗りたいのが正直なところでしょう。しかし、戦争後に生き残ったリンクスは希少であり、リスクを踏まえるとロクな戦力を出せないという事実。

功績を独り占めして政治力を握ろうとした以上、そんな虫の良い話をオーメルが許さなかった結果かもしれませんが、これはfaの時代でも尾を引く話でもあると言えるでしょう。

結果、オーメルは自社の最強戦力であるセロを増援として投入しましたが、アナトリアの傭兵によって撃破されました。

かつて世界を救わんとして立ち上がったオリジナルリンクスの殆どは、企業の身勝手な都合に振り回された戦争に付き合った挙句、敗者としてこの世を去りました。

結果、彼らが残したものといえば、コジマにより汚染されて荒れ果てた大地のみ。勝利者などいない戦いの果てに、世界を破滅に近付けた罪人として歴史に刻まれたわけです。

自分を犠牲にしてまで戦い続けてくれた男も、最後まで故郷を守ろうとした高潔だった人ですら、誰も彼もが報われずに堕ちていく結末。それを見届けた彼女の言葉が、未来での根幹を問い質すテーマとなりました。

「貴方は昔の私達と同じです。考えてください、何のために戦うのか…」

そして、レイレナード残党は地下に潜り、ORCAとしてかつての理想の実現を目指して再起を図る。

アクアビットとGAE残党は合流してインテリオルに保護され、新興企業トーラスを設立。

インテリオルはトーラスによってコジマ技術力を高め、単独グループとして変革。

BFFはGAの支援で復興し、GAはBFFを傘下につけて、世界最大規模のGAグループを作る。

オーメルはネクスト戦力を失ったものの得意の政治力を発揮、企業間政治の主導権を握ることには成功。

ローゼンタールはレオハルトの後継者となるリンクス、ジェラルド・ジェンドリンを迎え入れる。

イクバールはアルゼブラと名を変え、オーメルとの同盟を継続。

こうして、後の三大企業の構図へと変化した。

アナトリアの傭兵とフィオナは崩壊したアナトリアを去り、

後に非企業勢力の聖地ラインアークの英雄となる。

一方、オリジナルリンクス No.16 霞スミカは所属企業であるインテリオルを去り、

後にリンクス候補を拾い上げて育成。いたいけな少年と蜜月時代を過ごす。

そうして17年の時が流れ、faの時代に続いていく。

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