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【ACfa】パッチがORCAに雇われた戦いが歴史の分岐点だった事実

時代に殺されつつあったリンクス

ランクの存在が隠れ蓑にされていますが、カラード所属の独立傭兵ですら企業に肩入れして生計をやり繰りしている者がほとんどで、名前を上げるためには専属リンクスに近い忠誠心を求められることになります。

特定の勢力に肩入れしない独立傭兵として確認できるのは以下の四名のみ。

No.10 ハリ / クラースナヤ
No.23 フランソワ=ネリス / バッカニア
No.27 パッチ、ザ・グッドラック / ノーカウント
No.30 チャンピオン・チャンプス / キルドーザー

また、企業に肩入れしてるだけで評価が上がるというわけではなく、ランク最下位付近の新人であるダン・モロなどはGAに依頼を持ち掛けられますが、任務成功率から低い評価を受けつつ格安の囮として用いられてます。

これもネクスト本来の性能として見方を変えたら、PAによる圧倒的な防御力を生かせるなど一定の需要はあります。AMS適性という希少な素質から絶対数が少ないこともあって、本来であればリンクスという存在は重宝されるべきなのですが、アナトリアの傭兵の影響もあって消耗品として使い潰すことしか企業は考えられなくなっています。

正当な評価を受け取ることすら叶わないこの時代で、あくまでもリンクスとネクストは企業の象徴として扱われることも多く、リンクスたちが引き受けているのがお得意先の企業と考えると、独立傭兵らしい雇われ傭兵は実はほとんどいません。

企業に肩入れしない独立傭兵は向こうから仕事を持ち込まれるやり手か、どこにも歓迎されないかの二択で、特に後者は苦しい時代です。

そんな苦境に立たされ、カラードを通していない企業以外の仕事に手を付けて、やらかした独立傭兵の男がいました。

皆さんご存じのフロムのマスコットキャラクターであるパッチです。

ORCAがコイツを雇った意味は何だったのか

これまでの記事で解説したように、元々ORCAの目的には「企業の資本力を残しつつ戦力を削り取る」というものがあります。

だからこそ、クローズプラン開始が宣言されるまでは自勢力のイレギュラーネクストによってアームズフォートや通常戦力の殲滅、施設を目標としたテロ活動を続け、カラード所属のリンクスも無論その対象に含まれていました。

戦力増強を目的としてハリやトーティエントのように元カラードで首輪を外された者や、オーメルとORCAのパイプ役となっていることが窺えるカミソリ・ジョニーもいますので、ORCA側からリンクスに直接コンタクトを取る機会と捉えることもできますね。

しかし、そんな雌伏の時を過ごしている中で、スカウトするわけでもないパッチと接触しており、何故かORCA側から大規模なネクスト戦を仕掛けなければならないイレギュラーが起こっていました。

そのターニングポイントこそ

パッチが登場する不明ネクスト+ノーカウント撃破ミッションです。

以前の記事では企業視点でしたが、今回はORCA視点での世界情勢です。

中盤に突入した辺りでの不明ネクスト撃破の依頼では、ラスター18やパッチ、ザ・グットラックを雇ったプッパ・ズ・ガンとPQなど戦力目当てに引き込んだORCA所属のリンクスがイレギュラーの正体でした。

前者のラスター18は、リッチモンドの農業プラントではおそらくアームズフォート撃破や施設に対するテロに勤しんでいた中で勝手に「遊ばせてもらった」結果うっかりやられてしまうという情けないミスターイレギュラーという有様でした。

しかし、計3機を相手取ることになるキタサキジャンクションの戦いは思い返してみれば異質で、カラード所属でありながら雇われちゃったパッチとプッパ・ズ・ガンを囮としてPQの鎧土竜を伏兵にするという、パッチの口ぶりからしても「ネクストを迎え撃つ」ことを意識して戦術を練ってることは明らかで、参謀役としてメルツェルが絡んでると思っていいでしょう。

何故、こんな戦いを早期の内に起こそうとしていたのか?

結論を先に言ってしまうと、ORCAがインテリオル陣営を脅威と見なした戦いが不明ネクスト+ノーカウント撃破」ミッションです。

そして、この理由にあたるのがカラードの戦力の実態に大きな歪みが生じているという部分にあります。

カラードの戦力を整理すると見えてくる歪み

ランク通りにネクスト戦力をリスト化してみると以下のようになります。

  • カラードのランク一覧

No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.2 リリウム・ウォルコット / アンビエント
No.3 ウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ
No.4 ローディー / フィードバック
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.6 スティレット / レ・ザネ・フォル
No.7 ロイ・ザーランド / マイブリス
No.8 王小龍 / ストリクス・クアドロ
No.9 Unknown / ホワイト・グリント
No.10 ハリ / クラースナヤ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 リザイア / ルーラー
No.13 ヤン / ブラインドボルド
No.14 イルビス・オーンスタイン / マロース
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.16 有澤隆文 / 雷電
No.17 CUBE / フラジール
No.18 メイ・グリンフィールド / メリーゲート
No.19 ド・ス / スタルカ
No.20 エイ=プール / ヴェーロノーク
No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 カニス / サベージビースト
No.23 フランソワ=ネリス / バッカニア
No.24 ドン・カーネル / ワンダフルボディ
No.25 ウィス / スカーレットフォックス
No.26 イェーイ / エメラルドラクーン
No.27 パッチ、ザ・グッドラック / ノーカウント
No.28 ダン・モロ / セレブリティ・アッシュ
No.29 ミセス・テレジア
No.30 チャンピオン・チャンプス / キルドーザー

これは企業連傘下としてのカラードのランク付けで誤魔化されていますが、

所属陣営毎にまとめ直すと以下のようになります。

  • オーメル陣営

No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 リザイア / ルーラー
No.14 イルビス・オーンスタイン / マロース
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.17 CUBE / フラジール
No.19 ド・ス / スタルカ
No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 カニス / サベージビースト

  • GA陣営

No.2 リリウム・ウォルコット / アンビエント
No.4 ローディー / フィードバック
No.8 王小龍 / ストリクス・クアドロ
No.16 有澤隆文 / 雷電
No.18 メイ・グリンフィールド / メリーゲート
No.24 ドン・カーネル / ワンダフルボディ
No.25 ウィス / スカーレットフォックス
No.26 イェーイ / エメラルドラクーン
No.28 ダン・モロ / セレブリティ・アッシュ

  • インテリオル陣営

No.3 ウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ
No.6 スティレット / レ・ザネ・フォル
No.7 ロイ・ザーランド / マイブリス
No.13 ヤン / ブラインドボルド
No.20 エイ=プール / ヴェーロノーク
No.29 ミセス・テレジア

プレイ当時は疑問を持ちませんでしたが、所属陣営毎にまとめたらこれまで述べてきたような世界情勢に影響を与えるであろう要素、GAのリンクス冷遇やオーメルのリンクス不足など、いろいろ見つけられます。

ランク1にオッツダルヴァが君臨して、傘下リンクスの質と量のバランス取れているのがオーメル陣営。

ローゼンタールのノブリス・オブリージュを意地でもランク1にしたくなかっただけで、ランク的に最下位である自称最強系雇われ傭兵枠のカニス君も良い仕事するので申し分なし。

GAは以前の記事で述べたように通常戦力に重きを置いている強みを生かそうと最初期からアームズフォート分野に力を入れているため、下位ランクの多さが目立っている。ただ、BFFに雇われた赤い狐と緑の狸が与していると考えると悪くはないか。一般社員であるメイの負担がハンパない気がするが。

そして、問題児なのが少数であるはずのインテリオル陣営。

察しの良い傭兵諸君ならもうお気付きだと思いますが、この陣営だけオリジナルリンクスや前作からの先輩方が多いのに加えてルーキー枠であるはずのウィンディーとロイ・ザーランドがトップランカーという恐ろしい図式が生まれてます。

ORCA最大の脅威であるネクスト戦力を擁する企業

実際、作中のアルテリア攻防戦の時期に残存リンクスをまとめると誰一人欠けなかった猛者揃いがインテリオル陣営。

他の陣営はルート毎に差はあるものの、少なくともストーリー周回内で死亡が確認されてオーダーマッチが依頼できないようになる等、正史として一番被害を受けているオーメル陣営の面子。

No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 リザイア / ルーラー
No.14 イルビス・オーンスタイン / マロース
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.17 CUBE / フラジール
No.19 ド・ス / スタルカ

No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 カニス / サベージビースト

ORCA√で主人公が参加したらリンクスがほぼ壊滅するという恐ろしい事実。

戦場がアームズフォートを主軸に据えられたこともあって誤魔化されていましたが、ネクスト戦力という意味ではインテリオル・ユニオンが最も脅威的でした。

というか、GAが対立陣営のインテリオルと戦おうと思っても、リンクスの平均的な質に違いがありすぎるため、ネクスト戦は勝てる道理がないです。だからこそ、時代に便乗しながらグレートウォールやマザーウィルに頼っているわけですが。

オーメルは支援を受ける関係であるが、インテリオル陣営は旧アクアビット/GAEを擁するトーラス社以外はノータッチである企業として、ある意味ではORCAにとって最大の障害となると考え得る企業でした。

このぶっ壊れ陣営を何とかしようと企んだのが、ORCA視点での不明ネクスト+ノーカウント撃破ミッションです。

後のビックボックスやアルテリア・クラニアムでの攻防を踏まえると、経済戦争の最中である早期の内にインテリオルのリンクスを削っておきたかった本音はあったでしょうし、特にウィンディーに関してはテルミドールとメルツェルも「生半可なリンクスでは勝てない」と強敵として認めている。

インテリオルも裏切りなどの警戒心から最初は雇われ傭兵である首輪付きに依頼を持ち掛けたものの、話を持ち掛けられた正式なリンクスであるウィン・D・ファンションやロイ・ザーランド、エイ=プールといった実力者たちも揃っており、実際は彼らを屠るための作戦だったのでしょう。

作中、ある意味ではクローズプラン開始時よりも本腰を入れたネクスト3機によるORCAの攻勢。

この乱戦を制したのは結局インテリオルでしたが、後の世を左右する勝負の場面に立ち会ったパッチは一周回って幸運の男なのかもしれない。

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