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FF7原作からセフィロスが何者だったのか振り返ってみる

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FF7原作からセフィロスが何者だったのか振り返ってみる

約2000年前に隕石と共に飛来した未知なる異種生命体。

そいつは当時栄えていた古代種の各部族をほぼ根絶やしにし、僅かに生き残った古代種によって「空から来た厄災」として封印され、地中深くにて眠りについていた。

封印され仮死状態で2000年間も存在し続けた生命体は、長い時を経て、人間たちの手で掘り起こされてしまった。

古代種再生プロジェクト、通称ジェノバ・プロジェクトの発端である。

この天から降り注ぎし災厄の生命体である女性を「ジェノバ」と名づけた神羅カンパニーの科学者であるガスト博士は、ジェノバを自分たちが探していた古代種<セトラ>と誤認してしまったのだ。

この星はもともとセトラのものだった

「セトラは旅をする民族。旅をして星を聞き、そしてまた旅…」
「つらくきびしい旅の果てに約束の地を知り、至上の幸福を見つける」
「だが、旅を嫌う物たちが現れた。その者は旅することをやめ、家を持ち、安楽な生活を望んだ」
「セトラと星が生み出したものをうばい、何もかえそうとしない」
「昔、この星を災害が襲った」
「お前達の祖先は逃げ回り…隠れたおかげで生き延びた。星の危機はセトラの犠牲で回避された」

5年前セフィロスは自分自身を古代種=セトラの末裔だと思い込んでた

古代種とは、”星の声”と称する感応力——星との対話能力に長けており、高度な魔法を操ることが出来た高次元の精神を有する民族。彼らは自然と共存しながら魔洸による高度な魔法文明を発展させていた。セトラの民の末裔であるエアリスが花を植え育てたように、土地に命を与えて開拓する種族。

エアリスはイファルナとガスト博士の間にできた、混血の古代種。

エアリスの母であるイファルナを最後に純血のセトラの血は途絶えてしまったとされ、古代種の数が減少して星と生きようとする文化や文明が滅び、彼らに変わって星に住み着いたのが今を生きている「人間」です。そして、星はジェノバの存在を感知し続けているということ。

本物の古代種であるイファルナと出会ったガスト博士は、彼女から本当の古代種やジェノバの災厄、星についての様々な話を聞くこととなりました。

「博士がセトラだと誤解した者……ジェノバと名づけた者こそが……空から来た厄災なのです」
「その空から来た災厄を滅ぼすことを星が意識しはじめました……」
「ジェノバが存在するかぎり星が自身の力で傷を完全に治すことができないからなのです」
「では、ウェポンとは星の意識が生み出した兵器ということですか?」
「ええ、でも…実際にウェポンが使われた歴史がないのです」
「少数の生き残ったセトラたちがジェノバに勝ち、そして封印したのです」
「星はウェポンを生み出しました……しかし、使う必要がなくなったのです」
「もう、この星にウェポンは存在していないのですか?」
「ウェポンが消えることはありません…この星のどこかで眠っているのです」
「ジェノバを封印したといってもいつ、よみがえらないともかぎりません……」
「星の傷は完全に治ってはいないのです。星はまだ、ジェノバを警戒しています」

ビデオメッセージによるとイファルナはジェノバの正体を明かす

セフィロスは5年前のニブルヘイムで何を知ったのか

しかし、この真実を知るまでにガスト博士はジェノバ・プロジェクトである実験を行っていた。

神羅カンパニーは約束の地という伝承についての見解として、星のエネルギーである魔洸の源泉が眠っているとして、その在処を握っているであろう古代種の末裔を追い求めていました。

その一端として、発掘されたジェノバの細胞を植え込まれた生物は飛躍的に能力が向上する。この特性を生かして「古代種」と同様の選ばれし人間を人工的に生み出す計画に加担していたのだ

その実験体こそが最強のソルジャー「セフィロス」

胎児だったセフィロスにジェノバの細胞を埋め込む実験の被験体となった母親ルクレツィア・クレシェントは、身体に異常をきたす。ガスト博士は、自らを慕ってくる少年のセフィロスと接しながらも、その正体に怖気づいて失踪したのだ。

ジェノバという災厄に対して古代種は犠牲を払って星の危機に対応し、一部の者は隠れてやり過ごそうとした挙句、星を奪った臆病者たちの末裔こそが「人間」

おまえたちの祖先は逃げ回り…隠れたおかげで生き延びた

この事実から裏切り者の民族として人間を憎み、世に仇なす者としてセフィロスは世界と決別しました。

ここまでを整理すると、古代種は二つの意見に割れ、過酷な旅を拒否した者たちが現れたこと。

星を巡る旅を止め、一つの星にとどまって利益を享受してばかりの種族に対し、セフィロスは裏切り者と蔑んでいました。

純血の古代種がイファルナが最後だったことを辿ってみると、古代種は人間との間に子孫を残しています。人との交配が可能であることは種として近縁であること、星と対話する能力を失った元セトラの末裔が現存している「人間」というわけです。

セフィロスが実験材料として使われたジェノバの無念を晴らそうとするのであれば、彼は古代種という自負を捨てなければなりません。

どんな負の感情が彼の中で蠢いていたのかザックスやクラウドに限らず、プレイヤーにも判別がつかないままでしたが、彼の自認するところはあくまでジェノバと名付けられた「古代種」としてのものでした。

オレは選ばれし者。この星の支配者として選ばれし存在だ

あまり周知されていない事実として、彼がジェノバを母として認識していたのは、擬態していた古代種の女性に相対してのものであって、宇宙生物であるジェノバそのものに雌雄という概念はおそらく存在しないです。

ジェノバが女性の姿をしているのは、かつて擬態したのがセトラの女性だったから。

よく彼をマザコンとしてネタにされてますが、母親だと想い慕った相手すら完全に勘違いであることがFF7の物語のはじまりでした。

ケフカ「で、結局何がしたい?」

セフィロスは古代種の末裔として人間に復讐の想念を持つことになります。

しかし、実際の彼の正体はジェノバ細胞を埋め込まれた人間の子供であり、憎んでいた宝条と彼の助手であるルクレツィアとの間に生まれた只の人間ではありました。

ここで肝要なのは、ジェノバが世に仇なすものである自認している為、ニブルヘイムの事件を起こし、ザックスとクラウドによって倒されて肉体的な死を迎えました。しかし、セフィロスは強靭な精神によりライフストリームに還ることも魔晄中毒になることなく逆に膨大な知識を吸収すると、メテオで傷ついた星を修復しようとするライフストリームの力を利用(吸収)することで神となる計画を画策します。

「セフィロス・コピーはセフィロスやジェノバの姿に変化する」

そして、肉体をバラバラにされても細胞同士が再結合し、元の姿に戻る「リユニオン」というジェノバの習性によって、クラウドを含めジェノバ細胞を埋め込まれたセフィロスコピーたちはひとりでに動き出して世界各地で事件を起こすようになりました。

ミッドガルに流れ着いたクラウドも同様でそれがFF7本編のスタート地点となりました。

「……5年前、セフィロスが死んだ直後に私が創ったセフィロス・コピーのひとつ」
「ジェノバ細胞と魔晄、それにくわえて 私の知識、技術、ひらめきが生み出した科学と神秘の生命、セフィロス・コピー」
「失敗作だというのが気に入らないが ジェノバのリユニオン仮説は証明された」
「ジェノバは身体をバラバラにされても やがてひとつの場所に集結し再生する。これがジェノバの『リユニオン』だ」
「リユニオンの始まりを私は待った。5年がすぎ……コピーたちは動き出した」
「ミッドガルに保管されていたジェノバのところにコピーたちは集まってくるはず……」
「しかし、私のこの予想ははずれた。そればかりか神羅ビルのジェノバも移動を始めた」
「……私は天才だ、すぐにわかった。セフィロスの仕業だ」
「セフィロスの意志はライフストリームで拡散することなく、セフィロス自身としてコピーをあやつりはじめたのだ……」

過去にジェノバ細胞を植え込まれたセトラ達はモンスターと化してしまい、ほぼ絶滅状態にまで追い込まれているなど、争いは壮絶なものだったのだと思われます。

セフィロスが既にジェノバを支配しているためセフィロスコピーの扱いもほとんどセフィロスの一部とされていますが、こうしてまとめてみると、割と計画自体は行き当たりバッタリでした。

人に寄生したり殺したりするのはジェノバの本能的なものであるとするとしても、リユニオンなんて習性は後から利用できることにセフィロスは気付いているので、飛来した星からすると文字通り「空から来た災厄」と言えるでしょうが、ほぼジェノバは神となることを画策するセフィロスや宝条など一部の存在に都合よく利用される側の立ち位置でした。

全ての元凶のはずが大半はただジェノバの性質を利用しようとして破滅してるのでさらに言ってしまうと、メテオを落としてライフストリームを集約して神となる計画も、セフィロス自身の意志なのかジェノバの想念によるものなのか非常に曖昧なラインで、星の生命に擬態して、滅びを迫る生き物であるかのように語られてきましたが、本編でもどちらともとれる諸悪の元凶と呼ぶにはいささか浮いている状態でした。

メテオを落とすために黒マテリアが必要となるというのも古代種の知識を得ないと思い至らない計画で、仮にすべてがセフィロスの発案であったならば、母と呼び慕っていたはずのジェノバすらもクラウドと同様に利用されるだけの存在で、本編内での描写は終わってしまいました。

そして、続編アドベントチルドレン(AC)にて復活したセフィロスは次のように語ります。

星痕を宿した死者の思念。それはライフストリームとともに星を巡り、やがて星を侵食する
私の望みはな、クラウド。
この星を船として、宇宙の闇を旅することだ。
かつて母がそうしたようにな。
やがて我らは新しい星を見いだし、その地で輝ける未来を創造する

セフィロス(ジェノバ)の視点においても、「輝ける未来を創造する」のにこの星より次のステージに向かうという。

確かに、隕石で激突するというのがこの星にジェノバが行き着いた原因ではありました。

しかし、この生態って本当にジェノバのものなのか?

どちらかといえば、これまで語ってきたように古代種の在り方です。

REMAKEにおける『ジェノバ戦役』で何が待ち受けるのか

「この星はどうなる」とクラウドは当然の返しでしたが、実際どうなるんでしょうね(困惑)

古代種の女性に化けていたとはいえ、原作ではジェノバを利用してきたはずが、母と呼び続けているセフィロスの言動には違和感があるものとなっております。

FF7は実のところ、世界の謎を解明するのにあたっては何も解決していない戦い「ジェノバ戦役」という英雄達の物語で終わっていました。

未知なる宇宙生物の細胞がジェノバと名付けられましたが、この元となる生物とはいったい何なのか。

細胞を埋め込まれたら体内で共生する運命共同体の寄生虫であり、リユニオンは意識という本能的なものかもしれないですが、それさえセフィロスや宝条に利用されるばかりで、実はほとんど謎が明かされることはありませんでした。

そもそも、FF7という作中世界でメテオという禁忌の魔法を行使する古代種の知恵である「黒マテリア」はなぜ生まれたのか。

命が尽きようと、死が消滅ではないことを古代種は知っていたとしても、その大元である星そのものは別であるはずです。

イファルナの言葉が正しければ、星を傷付けることを嫌っている古代種は、こんなものを生み出して何をしていたのか。

FF7シリーズ中心にして最大の謎である、「星の歴史」と「古代種とジェノバの関係や正体」は考えれば考えるほど不穏なものとして、長年避けられてきたテーマでもありました。

しかし「REMAKE」シリーズによって紐解かれつつある部分も見えてきましたので、それをこれからお話しできればと思っております。

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「私は古代種以上の存在なのだ」
「ライフストリームの旅人となり 古代の知識と知恵を手に入れた」
「古代種滅びし後の時代の知恵と知識をも手に入れた」
「そしてまもなく未来を創り出す」

「みんな、今までありがとう。それに……ごめんなさい」
「……ごめんなさい」
「……すいません」
「特にティファ……さん。本当にごめんなさい」
「いろいろ良くしてくれたのに……なんて言ったらいいのか……」
「俺、クラウドにはなりきれませんでした」
「ティファさん……いつか、本当のクラウドくんに会えるといいですね」

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