ホワイト・グリント撃破
前回の補足、ラインアーク視点でのマザーウィル襲撃の必要性は語りました。
OPでは主力級アームズフォートであるマザーウィルに対するVOBとネクスト戦力の有用性の証明をホワイト・グリントは務めました。
しかし、そもそも開発されたばかりのVOBをラインアーク勢力もといホワイト・グリントに任せたのは誰の思惑だったのか。
マザーウィル撃破のためのデモンストレーションは、そもそもリンクスとネクストの地位を貶めたい企業サイドにとって不都合であったはず。
それにもかかわらず、ラインアークの背中を後押ししている企業、あるいは何者かの存在は意識してみると面白いですね。
自由都市ラインアークの発展と腐敗
さて、そのラインアーク自体も初見プレイヤー目線では清廉なイメージを持たれがちでしたが、実際はならず者国家に成り果てていました。戦力として迎えていたリリアナも安寧を貪るクレイドルの住民憎しで集まったテロリスト集団であり、それを武力として保持するなど割と目的と手段がこんがらがっている状態。
そんな流れ者たちの行き場にアナトリアの傭兵も居合わせていたことから、彼を戦力として祭り上げようとする輩が出るのは必然でした。
自浄作用としての役割も期待されていたのでしょうが、流れ着いた先でアブ・マーシュとも合流を果たした彼は新型ネクストのホワイト・グリントを託され、再びネクストに乗ることとなりました。オールドキング率いる過激派組織リリアナを追い出したのもアナトリアの傭兵でしょう。しかし、ホワイト・グリントとVOBという抑止力によって企業との取引が成立し、束の間の平穏が訪れると隠れていた対立が噴出してしまいます。
自由都市の理想を掲げたブロック・セラノ代表の政敵の台頭による上層部の腐敗など、内乱が歯止めのきかない状態にもなってしまったのです。難民に武装勢力や旧国家の残党、企業内政争の敗者といった寄り合い所帯だったこともあり、都市の経営が軌道に乗ると企業への敵対心で一致してきたグループ間の争いは必至でした。
設定資料集のインタビューにて「アナトリアの傭兵」の相棒を務めるフィオナ・イェルネフェルトもそれを憂いており、彼女曰く目指すべきは地上のコロニー同士で連携して企業と敵対する道ではなく、新たな市場としての価値を企業に認めさせること。
実際、ホワイト・グリントの存在もあってか、企業に恨みを持つ過激派がトップの座を取って代わろうとするラインアークは底が見えている状態でした。
前回の記事の内容にあったように、謎の反体制活動に危機感を煽られている企業連はここでラインアークに攻勢を仕掛けるべきと見て、ランク1であるオッツダルヴァで奇襲を仕掛ける。サポートには首輪付き、√によってはアスピナのフラジールを付けます。これはオーメルの功績独占という企業連での発言力を誇示するための采配として見ることもできますね。
近年増加傾向にあるリンクスで、ラインアークに同情的な独立傭兵もいたでしょうが、かつてのアナトリアの傭兵のようには行かず、企業に歯向かえば地道に築き上げてきた信頼関係を失うというのと、単純に腕が及ばないかのどちらか。
ラインアーク側につける者は首輪付き以外見当たりませんでした。
そんなこんなで迎えたラインアーク攻防戦と行きたいところですが、少し立ち止まって考えてみましょう。
何故ホワイト・グリントは専守防衛に徹したのか
この重要な局面においてラインアーク都市の防衛に徹しているホワイト・グリント。
ここに疑問を抱くプレイヤーはおそらくほとんどいなかったかと思います。
しかし、本当にラインアークが滅びるかどうかの瀬戸際であったのならば、ホワイト・グリントも悠長に構えている場合ではなかったはずです。
VOBでクレイドルに襲撃を仕掛けるなり、脅し文句はいくらでもあったはず。それをせずに大人しく交戦に応じたのは、ホワイト・グリントが撃破された場合の利益があったからに他ありません。
企業連とラインアークの攻防の裏には、前段階の取引内容としてラインアークに対するVOBなど抑止力の放棄の要求があったこと。
企業連は思惑通りにラインアーク側が要求を呑み、オーメル傘下のネクスト二機によって奇襲を仕掛ける手筈を整える。
そしてそれに乗じた何者かの接触によって、ホワイトグリントを失った後も、ラインアークが存続する保障があったということ。
不意を突かれて出撃した形のホワイト・グリントはラインアークにて撃沈され、守護者の座を降りたという結末になりました。
生き残りはどちらの側の子飼いにもならない独立傭兵唯一人。
そして、企業の望み通りホワイトグリントが撃破されて表舞台を去ったのにも関わらず、公式資料集によるとラインアークがなんだかんだ存続しているという点。
ついでにメインブースターを狙われたステイシスもといオッツダルヴァは海中に没しました。
これが、メルツェルによるORCAの戦いにラインアークもといホワイト・グリントが関知しない取引と、テルミドールの帰還のために生み出された茶番劇だったのかと思われます。
大雑把にまとめるとこんなところです。
本当にゴタゴタが多い局面なんですが、企業視点に絞ったらラインアーク存続の危機にも関わらず、素直にネクスト戦で応じて決着がつくというのはどうにもスッキリしない話。水没王子は存在も内容も濃すぎるのでとりあえず保留される。
前作でアナトリアの傭兵の身の安全が第一だったフィオナも、インタビューにある上記の通りの様子です。
前作のラストで「アナトリアの傭兵」の身体は限界を迎えていました。アスピナ出身のアブ・マーシュ手製という、AMS負荷を抑えるなどホワイト・グリントは彼専用機体であったと考えられますが、ラインアークの主戦力に位置してしまう以上、出撃する機会は下手したら前作と大差なくなりつつあったのかもしれません。
ラインアークの「依頼の内容を説明させてください」の人やメガリス防衛任務での管理局の人とは違って、フィオナは冷静に物事を見ており、闇雲に企業に対して敵意むき出しにしながらホワイト・グリントに縋るだけのラインアーク上層部には距離があるというか冷めているのも仕方ないかと思います。
「考えてください、なんのために戦うのか」も前作での彼女本人の行動原理を解釈すると、傭兵が戦いの場に出なくなるのは腑に落ちる結果となりました。
CHAPTER3
過激化する経済戦争とアルテリア襲撃事件
この後、首輪付きはより激化する経済戦争に投入。
GAに雇われてレッドラム+スタルカ戦に出撃したりネクスト戦も起こりますが、本人はいつも通りの様子でした。インテリオルの依頼でBFFの第八艦隊を相手取りながら、スティグロに騙して悪いがされたのは若干風向きが怪しかったですが。
特にBFFは第八艦隊やスフィア施設、ノーマル部隊サイレント・アバランチがやられたりと消費が激しさを増していく頃合い。
企業サイドも経済戦争にそろそろ歯止めをかけようか考えあぐねていた中で、ラインアークの処分どころか企業間紛争も突如中断することになります。
それが、主要アルテリア施設に対するネクストによる同時攻撃でした。
「貴族たちよ、地上へようこそ」