解説 雑記

政治学卒による政治の歴史シリーズ 共産主義編 -理想的社会と現実のギャップ-

共産主義とはどういう政治形態か?

簡単に言ってしまうと、皆で稼いだ物は皆で平等に分配する。

子供たちの理屈を大真面目に実行しようとする政治形態。
我欲を捨てている国民が集っているというぶっ飛んでいる理屈ですね。

これを実行に移そうとした最初は良かったです。皆が理想的な政治形態だと実践したわけですからね。

しかし、この制度をいざ適用してしまうと、賢い人間から自分が努力しても報われないどころか、自分が努力しなくても分け前が貰えるという落とし穴に気づき、自分が働かなくていいという結論に辿り着きました。

社会主義という国家による分配システム

誰だって人より楽したいし、人よりいい生活がしたい。結局、皆がそれに気づいて機能不全を起こしてしまう。

また、国家が先鋭的に配当、利益の分配役を務めるという形態を、社会主義として掲げられました。

しかし、上位層がそれを取り決めることが出来るのであれば、根本的には専制政治と変わらない。人間の善性に寄りかかっていた面では、専制政治から進歩しておらず、人の悪性によって短期間で消えてしまう危険性が常に隣り合わせです。

国家の手による平等な配当という、この思想は、世が貧しい時ほど必要とする声が増していくもの。貧困とは、社会情勢が不安定な時期であることを指しており、不正や暴動などの治安が悪化している鬱屈とした社会。

だからこそ、権力闘争が集中的に発生し、同時に弱者を虐げる権限が強まってしまう時世であります。これが弾圧に繋がってしまえば、強権的な国家とさして変わりありません。

実在する国が抱えてきた構造的欠陥

特に公定価格による市場での取引よりも、闇市場の価格の方が利益が出るのであれば、そこで商売しない理由はありません。その経済格差を是正するために政府が商人に手を出すのも、暴力や逮捕などといった強権的な手法となってしまいます。北朝鮮がこれです

ちなみに中国は独裁かつ封建政治で、社会システムや法に拠らず、指導者層による恣意的な判断に委ねられています。そのため、政治体制は共産主義であるとして平等を掲げていますが、要は専制君主制を維持するための方便です。

経済面も資本主義として市場への介入は行っていません。格差が生まれないという理想には見切りをつけているわけですね。前回の内容の通り、権力機構の監視者が機能不全を起こしてるせいで官僚による汚職は尽きないですが。

持たざる者への救いの手

産業革命の時代、過去に行われていた労働者の権利確保は経済のマヒを恐れていたことが発端ですので、そういう意味では一石を投じる上で必要な概念ではあったと思います。所得再分配や社会保障などが社会システムの要素として取り入れられるのは、共産主義が資本主義の弱点を補うという理想的関係となったので、矢面に立って出るような思想ではないでしょうが、役には立っています。

もしも人類が次に共産主義を全面的に適用する日が来るとしたら、それは利益の分配役が人間ではない完全性を備えた何かに任せられると判断した時だと思います。しかしまた、人間ではない何かにそれらの価値判断を委ねてしまえば、もはや掲げられていたような共産主義でもなく、その何かに管理される社会の到来を意味するのでしょう。

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