解説 雑記

政治学卒による政治の歴史シリーズ 中世史編 -専制政治が滅亡した理由-

今回は政治制度における歴史の変遷についてわかりやすくお話ししようかなと思います。

歴史は最良の教科書であり反面教師ですからね。

我々がこうして情報化社会に生きていられるということは、当たり前のように知りたいことを知るのに手間暇かからなくて済むことができる時代です。しかし、こういった当たり前に検閲が入り、情報を遮断された途端、歴史と同じ轍を踏むということは十分にありえます。

その時に正しい見識を積んできているのか、人間の本当の価値が問われるでしょう。という感じで、唐突に歴史語りをしてみたくなりましたので、御付き合い頂ける方はどうぞよろしくお願い致します。

中世史の専制政治の崩壊

この中世という時代は、どこの国家においても王や皇帝の支配する君主制が採用されていた、良くも悪くもパワフルな時代でした。

しかし、これらの時代による専制政治は滅びを迎えてしまいます。

理由はただ一つ、王様が腐敗して国家の最上位に位置する存在としての自覚が失せてしまったからです。

彼らは人間の根源的な欲求に従って快楽に溺れ、統治者としての義務を果たさなくなったのです。

その結果、その下で国政を担う王侯貴族もまた、自身を掣肘する王の監視がなくなったことで腐敗しました。

社会層として上位に位置する彼らの怠惰は、下層の政治端末である役人や外敵との戦いを担ってきた兵士にまで伝播し、権力機構そのものが、国の土台を支えている民衆を苦しませてしまいました。

すなわち、権力が民衆の敵となったのです。

少数の権力機構が多数の民衆の敵となった結果、当然のように少数である権力機構、すなわち王を頂点とする専制政治は終焉を迎えることになりました。

中世期においては、これらから得られる教訓がありました。

国家の腐敗は上位層から成り立つ

まず第一に、腐敗は国家社会の上位に位置する者から起こるということ。

上層部からの監視が成り立っているのであれば、下層から腐敗する事はありません。

役人一人が腐敗した時のために、その上位である貴族が是正する立場に置かれているからです。

さらに、ある貴族が腐敗しても、また上位に位置する王が監視者として機能すれば発見次第、それは是正されます。そうして、貴族全体の腐敗にはなりません。だからこそ、この構造は、秩序を保つための自浄作用として機能することが可能でした。

しかし、王の腐敗を正せる立場にある監視者は存在していません。また、それを指摘することができませんでした。

王が腐敗して監視者としての機能を果たさなくなれば、その下にも腐敗が伝播する。

つまり、国政の監視装置である王が腐敗した瞬間に専制国家の終焉は約束されます。

それを防ぐために、王が腐敗せぬように知識と精神を育もうと、指導者の教育を重んじるのですが、それでも万善の状態とは言えません。

人間は得てして誘惑に屈するという現実があったからです。

国王の不完全性による欠落

それこそが、王という個人に国全体の舵取り、そして権力機構の監視をさせる専制政治の弱点です。

かの『銀河英雄伝説』でもクローズアップされている部分ですね。取り換えられた頭によっては、たちまちに国が再生するいいところもある。何世代かの内に1人の割合で名君がいれば、残りはボンクラでも王朝は続いていく。しかし、逆に暴君が登場して行き過ぎると一瞬で滅亡する。

こういった個人に依存するのが専制もしくは独裁という政治形態です。

ただ、善人と悪人では悪人が多いという危機感は常に政治の場にありました。

どれほどの名君や善人も、老いや機会さえあればエゴによって堕落する生き物であるという観点から考えると、個人によって全体が左右される専制政治は欠陥品であるという結論が出ていました。

こうして、王侯貴族による権力機構を破壊し、被支配者から支配者としての主導権を握ることになった平民達は新たな政治形態を生みだしました。

専制政治から生まれた双子、それが「民主主義」と「共産主義」です。

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