「人類種の天敵」とはなんだったのか
まず最初に重要なファクターである主人公、首輪付きの話からしましょう。
かつてのオリジナルリンクス、霞スミカに拾われた人物がfaの主人公である首輪付き。
カラードを登録して間もないネクストAC「ストレイド」のリンクスでした。
この子が主義主張も無い傭兵でありながら、特異な性質を帯びているのがすなわち「虐殺」です。
本作フォーアンサーの特質として、ムービー中のナレーションで主人公のことが語られることはほぼありませんでした。
見捨てられた地上の英雄譚としてホワイトグリントやORCAの登場、企業のリンクスであるオッツダルヴァやウィンディーの動向は注目されたのにも関わらず、主人公の行く末に関しては虐殺ルートでしか語られていないです。
これを読み取っていく上で、ある前提が成り立っています。それは、主人公の存在は歴史の分岐点に成り得ていないということ。
つまり、企業ルートとORCAルート、そのどちらにおいても歴史上、首輪付きの影響力は大したものではなかったということです。
企業とORCAの結末の真実
この言葉を聞くと、企業ルートとORCAルートは正反対の道であるのにも関わらず、その後押しを務めた主人公が歴史に埋もれる存在になってしまうのは疑問に思う人も多いでしょう。
確かに主人公視点で活躍を続けてきた身からすると、その戦功を誇ることも無理はありません。
しかし、最後に企業とORCAの密約の存在、これまでの企業とORCAが互いの存亡を賭けたような戦争が、ORCA参謀のメルツェルが取引を成功させるための「過程」に過ぎないという種明かしがされます。
よく思い返してほしいのですが、一周目に歩んだ企業ルートは実はこれまで築かれた旧世界を守る道ではありません。
何故なら、企業は既にORCAを黙認している。つまりは、目的が一致したのです。
企業ルートという名ではありますが、あくまで今を生きる人命が最優先だというウィンディーの「願い」に首輪付きが応じた結末でした。
ORCAの結成目的は「宇宙開拓」という黄金時代の礎となること
前回の記事のように、企業は経済戦争を繰り返す中でクレイドルという寿命を迎えるまで安穏な生活を送ることができるシステムを築きました。もちろん、清浄な空に招かれたのは企業にとって有益な人材のみ。それらを排除して、世界を上位層の権力争いから正しい方向に向けることを地上の人々はORCAに期待していましたし、当然プレイヤーもそれを信じていました。
しかし、ORCAが革命を成就しようともクレイドルに生きる者は地上に引き摺り下ろされるために、犠牲は確実で大半は命を落とします。
無血革命などではありません。地上の人間も遠からず汚染によって死に絶えるのですが、彼らは元より犠牲になることは変わりませんので、仲間ができてむしろウハウハでしょう。
その地獄のような環境下でも、生き残った人類が宇宙に向いて再び繁栄できるように「御膳立て」をするのであって、今の世界の資本主義社会の力のベクトルを戦争経済ではなく宇宙開発に進めようとしているのです。
実はこれは企業が主導に立っていくことになるのは、両ルート共に変わりありません。
では、主人公である首輪付きがORCAルートで「最後のORCA」として戦いに赴いた意味とはなんだったのか?
そして何より、何故ランク1であるオッツダルヴァが姿を見せて立ち塞がっていたのか?
これから、それらの謎のすべてを整理をしながら語っていきたいと思っております。