「私たちは神に愛されているの」 そんな御伽噺を母は信じ切っている。
ならば何故、この町の住民たちは盗みを働き、食事を与えられるための列に並びながら、他の人間たちに暴力をふるっているのだろう。
法と秩序が忘れ去られた町に暮らす少年セント。ある日、町の住民が通う教会にて、撲殺されたシスターの遺体が発見される。調査の依頼を受けた興信所の主、ダスティ・ノーランドは事件に関心を抱くセントに警告する。
「この町はもう御終いだ」
仮想21世紀半ば、頻発するテロと暴動によって国際秩序は崩壊していた。
多国籍企業体WACにより施行された「計画都市」に参加した難民たち。
「町」に移住して暮らす彼らにいったい何が起きているのか。 計画都市で行われていた恐るべき社会実験の実態とは?
全てに翻弄されながら、少年に苦難の運命が待ち受ける。