始まりと終わりに立ち塞がるのは「黄金」
坩堝という混ざりものが古い黄金樹の生命の発端というのもあると思いますが、ゴドリックのドラゴンなどが接がれることにあの世界の生命が適しているのは黄金樹という存在の根源が、外なる神らしく他の存在を媒介にして「寄生する/依り代となる」ことを生業とする「黄金の獣」の下で生まれたこと。
そして、その祝福によって生まれたデミゴッドや神人が忌みや巨人、蛇といった異なる存在と混ざり合い、時には「死王子」や「腐敗の女神」といった依り代になるのは、彼らを生み出した黄金の祝福そのものが「接ぎ木」だからこそというのが前回の締めでした。
黄金樹の時代、カーリアの星見は廃れていった
夜空にあった運命は、黄金の律に縛られたのだ
曰く黄金の一族の大ルーンは「要の輪」であり、エルデンリングとはすなわち「黄金律」
それが何故かいくつも重なり合うような輪を形成してるということは、そこには「黄金律」が取り込んで「黄金色に上書きした時代の律」が含まれているから。
竜の模倣である翼と長い首を持ち、二本の腕で剣を振るい、血を持たない写し身であり、星を身に宿して地に降らせる生態。
竜でも人でもあらず、あくまで大いなる意志の眷獣であるとされた。
それは、大いなる意志の眷獣であり
律たる概念の具現であった
アイテム「遠眼鏡」より抜粋
エルデの獣とはまさに、それまでの時代の律(神)を下敷きにした「接ぎ木の獣」でした。
「内なる律」の名残ある生命について
とまあ、こんな感じで前回のテーマの続きに話を戻すのです。
歩く霊廟には「魂無きデミゴッド」の遺体が納められており、そこでデミゴッド達の追憶を複製させられるのは「鐘有りの霊廟」のみ。ここの建築様式は共に剣士像が囲っているなど「永遠の都」の名残があることが窺えます。
かつての冷たい霊炎の習わしに従って、褪せ人と鐘の音によって導かれたデミゴッドの魂。
再誕を果たす時まで、彼らは新たな身体に宿って眠り続けるのかもしれません。
その時は既に彼らが祝福を得ていた黄金律ではありませんが。
とりあえず冷たい霊炎にまつわる時代について、もう少し掘り下げなくてはならないことがあります。当たり前ですが「運命の死」を取り除くということは、これまで「死」に携わっていた者たちの立場が変わるということ。
死を取り扱う葬送の慣習が、かつては死の鳥に肉体を食らわせる方法で死者を弔うことで生死のサイクルの中「腐敗」を防ぐことが叶っていました。
しかし、黄金の時代になると死の鳥に代わった存在があります。
ミミズです。
ミミズ顔の正体の手がかりについて
こいつらはおそらく命を植物として芽吹かせる黄金樹と相対的な立場に立っていると言うべきか「黄金を取り込む」のではなく、抽出したそれを吐き出しながら死肉を食らう存在となっていました。
狭間の地で見られたミミズ顔とは、死の根などの影響を受けた狭間の地の生命を取り込むことで、死の残滓を身体の中に根付かせるようになってしまった末路とも受け取れましたし、死骸や老廃物を栄養源とするのはミミズの本懐。
しかし、有機物を分解するコイツと相容れないかのように、黄金樹の下では永遠という名の停滞を帯びて決して腐ることはありません。
運命の死を取り除くことで「生命の循環」というルールを捻じ曲げた大地にこいつらがよりにもよってローデイルとファルムアズラをうろついてるあたり、少なくとも黄金樹の時代の下で望まれて生まれた存在ではなかったような気がします。
同様に王族の幽鬼というのも、聖なる黄金樹の力に弱いが故に回復祈祷で傷つくなど、他の律の下で生まれた存在であることが窺えます。もしかすると、ラニの人形の肉体のように、かつては腕が四本やら異形だったのかもしれない。
何はともあれ、過去にはあの状態異常「死」にまつわる律が刻まれていたのか、木々に生えて腐らせるキノコなどのように、黄金律にとっては排するべきエラーであると考えていい気がします。
それはともかく、じゃあ黄金律の下で「死体処理」はどうしているのかと言いますと、黄金樹の祝福を得た者たちは、祝福に値しない者に役目を与えて再利用することを思いつき、それこそがおそらく死体を集める「壺」でした。
「死体漁りとは、感心しないな」
ヒビ壺を使った製作アイテムのひとつ
古い死の呪術が施されているFPを消費して、敵に投げつけ
追いすがる怨霊たちを生じる古い時代、死は霊炎に焼かれた
怨霊はその燃え滓であるという
冒涜の君主、ライカードのおぞましい力
燻る怨霊を放ち、その軌跡に
間をおいて連続する爆発を生じるそれは、英雄たちの非業の怨霊である
魔術
彼らは、王に見え、歓迎と共に貪り食われ
大蛇の中で、王の家族になったのだ
怨霊というものを御するのはライカードというよりも黄金律そのものに含有されている古い死の律に基づいているもので、死儀礼を介して死の鳥の羽に宿った状態こそ「死儀礼の鳥」なら、冷たい炎の時代において死の鳥の羽に魂を定着させたように、還樹システムに組み込まれた「壺人間」は、黄金の時代にも「霊なる不死性の律」を利用した存在ではないか。
少なくとも、彼らは無自覚に死体を収集して自らのものとしている。そうして従僕でもない自らの存在を何も疑問に思わないまま、彼らは死体漁りの黄金樹システムに利用されている側に立っている。
死に仕える者たちの魔術
追いすがる怨霊たちを呼ぶ
タメ使用で強化されるそれは、死術師ガレスの蘇らせた
魔術「怨霊呼び」より引用
古い死の呪術である
死者の怨念を再利用したことで「再び生を得た死者」ではないのか、というのが当方の見解なのですが、トレーラー的に壺工場的なステージがあるならそこに注目かもですね。
世界樹はいくつも存在していた
ミケラの聖樹もその一つを目指していたと考えられますが、律を掲げている世界樹は本編以前の時代からいくつも存在しており、それらを取り込んだ形で生まれたのがあの黄金樹ではないのかという見解が、ようやく地に足をつくかのように補強されたのがDLCのトレーラーでした。
エルデンリングの世界観はいわばマトリョーシカであり、よく分からない遺跡や遺物によく飛ばされるからワケが分からないことになりがちなのですが、大筋を辿ってみると理解に至りそうな絶妙なラインを攻めてくるので、影の地も断片的な情報を辿るしかないのでしょう。
マリカ/ラダゴンが何かを裏切ったことで黄金と同時に陰は生まれ、「滅びの火」の色を帯びているメスメルの火は、黄金樹の樹立のためにも前の律による世界樹を上書きした名残やら、異分子たる内なる律で生まれた者たちを粛清するために用いられたと考えていいのかもしれませんね。
地下にある永遠の都のように、異なる世界樹の樹立にはそこを中心とした新たな空間が形成される。黄金樹が太陽として樹立した時に、かつてあった世界樹の空間は永遠の都と同じく埋もれて「影の地」と化したって見ているのですが、髪を盗んでたくだりやらどうやって叶えたのかは未だに未知数です。
一つ思うのは、種火であり運命の死を宿したメリナは、焼き爛れた過去がある。彼女も何らかの関与と言いますか、この頃の火種としてマリカによって生み出された一人なのかもしれない。しかし、メリナはもう姿を消しているんだ
そして皆様はその答えに辿り着いてると信じて、私も来月かの地に向かわなければなりません。
次の記事でもマリカ周りやら話すこと些かあるのでまだ小話シリーズあります。
皆さんがちょうどクリアした頃合いでも中身がある記事に仕上がるよう祈るしかないのです。
近い内に他のゲームやらでゲリラ的な配信環境テスト配信やるかもしれないので、もしこのサイトやチャンネル登録で見かけたら仲良くしてやってください。何卒よろしくお願いいたします。