当時残された最大の疑問点
神々の本性がカアスによって暴かれたわけですが、
火を絶やしたい彼もどさくさに紛れて教えてくれていないことがありました。
結局「不死の呪い」って火を継いだら本当に消えるの?
何だかんだ、これに関してはマジで当時うやむやにされていましたし、カアスからしたら闇の時代が来たら人の不死性なんて問題視されないと思われてるのか。
そもそも、この世界において死者とはなんなのか?
人間性を失うと亡者になるゲームシステムに順応すると忘れますが、元はといえば「火が陰った影響で呪われたダークリングが表れた」という言葉がありました。こいつはずっとアイテムとして所有していましたね。
だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る
今や、火はまさに消えかけ
人の世には届かず、夜ばかりが続き
人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた
不死の呪いを受けた者はダークリングの兆候が表れて投獄され、やがて正気を失った亡者となって朽ち果てる運命を背負うことになりました。
仮に、囚人がなんとか牢を出たとしても
人の世界に戻ることはかなわないだろう「不死院二階東の鍵」より
逆説的に言えば、人は「死ぬ存在」として世の中は成り立っていたわけです。
通常の世の中であれば、それが不変の理だと思うでしょうが、万物を生み、火によって差異がもたらされたこの神話の世界では、ちょっと話が変わってきます。
ここで、最初の「火の時代」の成り立ちを思い出してみましょう。
最初の死者、ニト
イザリスの魔女と混沌の娘たち
太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち
そして、誰も知らぬ小人
王のソウルを有する彼らはその身に強大な力(ソウル)を宿していました。
それは異なる力として姿を変え、それは炎や雷という属性が与えられ、それをもって古竜に戦いを挑み、火の時代を築きました。
それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ
ダークソウルOPより
グウィンの雷が、岩のウロコを貫き
魔女の炎は嵐となり
死の瘴気がニトによって解き放たれた
そしてウロコの無い白竜、シースの裏切りにより、ついに古竜は敗れた
火の時代の始まりだ
という感じで、ここではっきりしたのは「死」という概念が墓王ニトの管轄にあったという点でした。
つまり、この世界における「死」とは、始まりの火より見出した力(ソウル)の一つ。
「生」と「死」が「はじまりの火」のもたらした差異によって分かたれ、力の一種として存在しているというものでした。
「死」のソウルは動力源
最初の死者となったニトは己の力として、死を自在に操ることができたわけです。死の力(ソウル)を完全に使役するには、死者であることが求められる。
だから、ニトの眷属である墓地に蠢いてたスケルトンもまた、完全な死者でありながらも、死というソウルを動力として存在していたわけです。
死を糧とする彼らを害するには、生者のソウルを奪うような殺害ではなく、神聖武器によって、内部に宿るソフトウェアである死のソウルを壊すことが必要だったわけです。
また、それに及ばずとも、ステータスにある「生命力」の数値が減ることで「死」が近付き、より大きな力を発揮する装備やボスクラスの存在もまた「死のソウル」の力を借りているというのが、からくりなのではないのでしょうか。呪われた指輪多すぎ問題。
話を戻すと、この「生と死」という差異を超越したのが「不死」という闇の眷属だったのです。
このパワーバランスを戻すために火継ぎが求められていたわけですね。
不死の迫害っていつからなの?
火が陰って「死」と「闇」の力関係が逆転して、不死が現れ始めるのだとします。
しかし「はじまりの火」が最初に陰ってグウィンが火を継いだのは無印本編スタート時よりずいぶん昔の話です。
見つかった不死は不死院に投獄され迫害する対象として見なされますが、それはOPにおいてダークリングが表れ始めてからであり、火の時代の歴史上において人は死ぬ存在として生きており。ちゃんと最近までこのパワーバランス保っていたということになります。
そもそもの話として「火の時代」において最初期から火が陰ったからこそ存続のために、グウィン自身が火を継いだのであり、フラムト曰く1000年前から後継者を待っていた。
待ってた割に収容所作って嫌がらせとか、ホント陰湿ですよね。
だとすれば、「不死の存在の有無を問わず、神々が人を脅威として認識していた」ということになります。
グウィンが己の身を捧げた動機がそこにあります。それはなんなのか。カアスが語るように、グウィンは人の何を恐れていたのか?
貴公が望むのならば、我が力をも授けよう
闇の王の力、生命喰いの力だ
その力で、不死として人であり続け
貴公ら人にはめられた、神の枷を外すがよい
かつてグウィンが人を恐れて早々と火継ぎに身を捧げた理由、闇の力の正体は「人の不死性」ではないのか?
そもそも「人の不死性」というのも、死なないのではなく何度も死ぬことができるという異質なものでした。
闇の力には「生命喰い」という別のものがあることと、人は神によって枷を嵌められた存在であることが、カアスの言葉によって示唆されています。
神が「人」と「闇」に何を見て、何があったのか。
その一端が、後の[ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION]にて明かされることになり、
さらには『2』での探求の旅路に繋がることとなりました。