テルミドールとオッツダルヴァ
コイツに関しては考察の余地どころか空白がデカすぎてどう捉えてみたらいいかはっきりしていないという困ったちゃん。
テルミドールとオッツダルヴァとしての顔を持ち、それぞれに基づいた記憶を共有できている時点で、二重人格などではなくただの仮面として扱っていいのは間違いないです。ただその場合、革命家テルミドールが本質でオッツダルヴァが仮面だとしても、Rememberがテーマ曲になっているのか説明つかないという。実は本音が漏れているのはオッツダルヴァであったかもしれない。
そういう分裂した男、どういう経緯でカラードのオッツダルヴァが誕生しているのか、順を追って説明していきたいと思います。
レイレナードの遺児として
基本的に旅団長マクシミリアン・テルミドールは真改と同じくレイレナードの生き残りであったと捉えていいと思います。
彼自身がリンクスとして駆る機体であるアンサングとステイシス共に高機動戦によるコンセプトに基づいたものであり、fa時点のオーメルもレイレナードの機体設計をベースとしているライールを開発しています。
彼がリンクスとして開花したのはリンクス戦争を終えた後であり、レイレナード残党として地下に潜っている時期でした。
BFFは王小龍によって新生を果たしてGA傘下に身を置くことになり、これをよしとしなかった元GAE・旧BFF残党も参加していたこの残党組織がORCAの原形であったと考えていいでしょう。ORCAの最初の五人であるテルミドール、銀翁、ジュリアス・エメリー、真改、メルツェル。この内訳としてレイレナード出身がテルミドール、アスピナから合流したジュリアス、4時点でリンクスとして登録済みだった真改。
トーラス系統の企業にはアクアピットと旧GAEによって構成されていることから、銀翁はアクアピットのオリジナルであったテぺス=Vに近いと考えてもいい。そして、メルツェルはAMS適正も低くGAベース機体であることから、レイレナード出身のリンクスではなくどちらかと言えば旧GAグループであったGAE出身者であったと考えられます。
そんなメルツェルでしたが旅団内でのNo.7という地位に甘んじています。おそらく、リンクスとしての手腕が物を言う組織としての側面を持つ反動組織であり、参謀役である彼は自らの腕前を高く買ってはいないので、ヴァオーと組んで行動することが多かったのでしょう。リリアナの首領を務めていた実力者のオールドキングは抜きとして、最初の五人が上位を占める中でヴァオーが真改に次ぐNo,6であることを考えると、ヴァオー自体はウィンディーからの評価はどうあれ割と懐刀として活躍していたことが窺えます。
そして何より、旅団長マクシミリアン・テルミドールは名実共にNo.1に据えられたリンクスとなっていました。
AF主導の世界情勢とオーメル傘下リンクスの枯渇
GAはこれまで苦境に立たされていました。前作ではオリジナルリンクスの質と量が物を言うリンクス戦争期にアナトリアの傭兵という切り札によって致命的な被害を被ることもなく、生き抜くことができました。そして、戦後はBFFを傘下に置き、経済戦争の主役がアームズフォートを中心に据えられたことで状況は一変。
元より通常戦力が充実しているGAの長所と重なるBFFが加わることで軍事力がさらに強固なものとなり、アームズフォートも最初期のうちにグレートウォールやマザーウィルなど強大な兵器が稼働。インテリオル=オーメルを相手取るこの勢力図、おそらくGAの資本力は実質的にトップに位置しています。唯一、ネクストもといコジマ分野においては後れを取っていましたが、この短所を補えれば企業連の主導権を握れます。これを防ごうと、インテリオル=オーメルは組んで経済戦争を継続してアームズフォート共同製作に着手してました。この完成系がアンサラーだったかと思われます。
それに熱を上げる一方でリンクスとネクストの運用は委任するという形によって、支配企業の援助を受けつつも、中小企業体や個人単位でネクストを運用する独立傭兵が誕生しました。ORCAの活動もここからでしょう。傭兵業の受注や技術や人員の売買。トーラスが月輪の実戦テスト目的で引き渡していたり、ORCAネクストにコジマ兵装も与えています。旧レイレナード系列のネクスト技術がオーメルの流れに組み込まれていることから、企業との取引関係によってレイレナの流れを汲むORCAが利益を生み出したことは確かで、その主犯がメルツェル。
当時のカラードランクでホワイト・グリントや若手リンクスの登場を差し引いても、GA陣営ではローディー / フィードバック。インテリオルにはウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ、スティレット / レ・ザネ・フォル、下手したら霞スミカの現役時代だったなども考えられます。この二大勢力に対してオーメル社は、グループ傘下であるローゼンタールのノブリス・オブリージュが自陣営のトップランカーに位置するという苦い光景が広がっています。
政治力によってランクは変動できるものの、他社のトップランカーを蹴落としたランキング操作は流石に見苦しいものがあります。
オーメルは前作ラストの経験から数少ない自社リンクスの投入を惜しむようになるのと同時に、自社の企業連における権威を示すためのカラードのトップに位置できるネクスト戦力に飢えていました。
自社に引き入れたレイレナードのツテを辿った取引の末に、カラードの“オッツダルヴァ”は誕生したわけですね。